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愛にあふれた数学教育書

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微かに分かる微分積分
小松 建三 (著)
【リンク】
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まさに、"小松君"の面目躍如たる書。

小松君はK大で長らく数学を教えていた。

10年近く前になるが、私も氏の授業を受けたことがある一人だ。
(K大の習慣から、教師は君付けで呼ばれていた。)

小松君の授業は、ユニークさが際立っていた。
授業や毎回小テストもさることながら、「つまらない冗談」が、とても印象的だったのだ。

その印象は大きく、今こうして氏の本が出たときに、真っ先に注文してしまったほどだ。(先に出た「線形代数千一夜物語」に続いて、本書を購入した。)

本書では、微積の計算方法を、基礎から丁寧に教えられる。

作法や定義を教えるというよりは、
とにかく「手を動かさせる」形で、教える。

たとえばそこでは、微分についてまわる、微分可能性、といった"枕詞"はあえて無視して、
「まずは微分できるようになることに主眼に置かれた格好」で進められて、
手を動かしていくうち、わかるようになっていく。

実際、数年ぶりに「ビブンセキブン」に再度出会った私も、
相当程度思い出すことができた。

(本書は、そもそも「数学嫌いを対象」にした本であるが、
 私は「どちらかというと数学好き」であるため、モデルケースになりえない。
 その意味では、真のところ、本書が成功しているのかどうか、
 つまり、数学嫌いに微分積分を教えることが出来るのかどうか、という点は、
 評価できない。念のため。)

実際のところ、本書内でも繰り返し問われてるのは、
「数式の解き方」もさることながら、
『現在の数学教育のあり方』そのものであろう。

小松君は、数学嫌いの多いの本邦の状況を嘆いており、
研究者としてではなく教育者として、数学嫌いを有む数学教育を憂えている。
そしてその数学教育を生むこの国を憂える、まさしく憂国の士である。

まずは楽しくなければならない、というスタンスから、
幾度と無く繰り出される「つまらない冗談」が、
数式とともに頭に刷り込まれていく。

(学生時分、ただの、変な教師だった、小松君が、
 偉大なエンターテイナーだったことに気付かされた。)

小松君は、ピエロである。
本人は悲しみをたたえながらも、冗談を連発させ、
数学を教えてくれる。

「微分はオドロキ・モモノキ・サンショノキ」

本書は、稀に見る、愛にあふれた数学教育書である。
私は今後も、"小松君"の執筆活動に期待したい。

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